もう早いもので、ジギタリスの季節になりましたね。
なんて言われても、相槌を打てる人はほとんどいないですよね。
強心剤として昔から私たちが利用しているジギタリス、あまり知られていませんが、5月から6月が開花時期、まさに今が見頃なのです。
昨日の写真はジギタリスの花のアップ、今日は少し引いた写真となります。
ジギタリスは今も昔も獣医師国家試験の実地問題で出題される可能性がある重要な有毒植物ですが、今日は植物としてのポイントをつらつらと書いてみようと思います。
ジギタリスの特徴、それは何と言ってもゴージャスで綺麗ってことです。
えっ?有毒植物なのに綺麗なんて・・・という声が聞こえてきそうですが、実際に綺麗なんだからしょうがないんです(笑)。
独断と偏見で綺麗と決めつけてるわけでなく、実際にジギタリスが洋風ガーデンで人気だって知ってましたか?
地方に行くと、普通に花屋で売ってたり、道の駅なんかで売られてるはずですよ。
有毒植物を庭になんて危ないじゃないかって言う人もいるでしょうが、そんなこと言ったら今が見頃のアジサイも有毒植物だし、多くのご家庭で長持ちして世話が簡単な日日草も思いっきり有毒ですから。
そうなんです!有毒植物は、そこらじゅうにあるんですよ(笑)。
おっと話が逸れてしまったので、元に戻しましょう。
ジギタリスを有毒植物だからと言って、斜めから見ずに、まず素直な気持ちでみると、なんて可愛いベル形(壺形)の花なのかと気づくはずです。
そう、ジギタリスの和名は「キツネノテブクロ」、まるで童話の世界、かわいいキツネさんが寒い冬に手につけそうなミトン(手袋)のようじゃないですか!
でも、有毒なんですけどね。
ちなみにジギタリスの英名はフォックス・グローブ。そう、まるで童話の世界のかわいいキツネさんが・・・ってしつこいですが、英名も思いっきりキツネノテブクロ(英名を日本語に直訳したんで、当たり前)。
でも有毒なんですけどね。
こんなジギタリスの写真を国家試験で出題された場合、どうやって気づくのかポイントを確認しておきましょう。
1・総状花序(簡単に言うと、写真のジギタリスのように下から上へと花が咲いていく)である。
2・花は下向き、ベル形(壺形)
3.花の色は白、ピンク、オレンジ、黄色、紫、茶色など
獣医師国家試験対策としては、これで十分だと思いますが、注意してほしいのが花の色。
人間、花を見るときはまず、花の色を記憶する癖があるみたいで、桜と言えばピンクといった感じで花=色を記憶しがちです。
これは国家試験勉強として危険なので、注意しましょうね。
本番で出題される花の色はジギタリスの場合、上述した様々な色があるので、ジギタリスの花の形や向き、総状花序といった特徴を覚えておく方が賢明であることがわかりますよね。
最後に、獣医師としてまじめな話。
国家試験では有毒植物は通常、開花している写真がよく出題され、教科書も開花時期の写真を掲載しているものが多いようです。
実際、開花時期が見た目に分かりやすいですし、特徴的ですからね。
でも、そもそも獣医師国家試験に受かるために勉強しているのではなく、獣医師国家試験に受かって獣医師として働き、社会に貢献しようと勉強しているわけですから、そんな勉強で良いのか?国家試験に受かるためだけの勉強に意味があるのか?ってことも受験生には時に考えて欲しいです。
ジギタリスは一年中開花しているわけじゃないんですよね。
多くの植物は開花していない時期の方が多いんですよ。
そして、ジギタリスは花だけでなく、葉も根も有毒なんですよ。
ということは・・・開花していないジギタリスを見て、ジギタリスだとわかる知識が無かったら、意味がないんじゃないですか???
国家試験対策としては上述の知識で十分なんですが、有毒植物マニアとしてまじめに話しますと、植物は葉の特徴を覚える方が役に立つってことを力説したいと思います(笑)。
通常、花よりも葉を観察できる期間の方が長いですし、葉に植物種の特徴が出やすいからなんです。
ジギタリスの葉はちり緬状のシワがあるのが特徴で、このため若葉のころに食用のコンフリーと間違えて誤食しちゃうヒトが毎年出ちゃうんです。
要するに、ヒトの中毒事故は開花前に起きてるんで、公衆衛生学的には開花時期の写真を覚えてても、意味がわけなんです(開花したジギタリスをヒトが誤食するなんて・・・あるのかいな?)。
こんな問題意識を、国家試験の問題をつくっている先生方や、大学で教鞭とられてる先生方にも持ってほしいんですけど、実際は偏った知識、講義になってて、ちょっと悲しい今日この頃なんです。
おっと、ジギタリスの花言葉が「不真面目」なのにもかかわらず、真面目に話しすぎちゃいました。
次回はジギタリスの薬理学的な話を真面目(不真面目?)に書いてみたいと思います。
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