なんとなく気づいていましたが、どうもタピオカドリンクがブームみたいですねえ。
もう下火のような気もしますが、街を歩いているとタピオカドリンクを飲みながら歩く若者によく出会いますし、先日は池袋で何の行列かと思ったら、タピオカでちょっとびっくりしました。
まあ、自分のお金で好きなものを買って食べる分には問題ないんで、好きにすればよいのでしょうが、昨日「このタピオカうまいね」と言いながら歩いていたカップルの言葉を聞いてしまったら、これはちょっと黙ってられないぞと思い、今日のブログに至るわけです。
ちなみに黙っていりゃいいじゃん、というご意見もあろうかと思いますが、まさしくその通りです、はい、認めちゃいます。
でも、それではブログのネタにならないので、消化・吸収の知識や栄養学的な雑学を交えながら、書いてみようと思います。
まずタピオカとはなんぞや???という素朴な疑問から。
タピオカはキャッサバという植物からつくります。
このキャッサバの生えている地面には、簡単に言いますとイモが埋まっていまして、そのイモを加工したのがタピオカになるわけです。
通常、黒いブラックタピオカと白く透明に近いホワイトタピオカがありますが、白い方は漂白しただけで、同じものです。
最近は日本国内でも、一部でキャッサバを栽培しています。
ま、結局はイモですから、土が悪い場所でもしっかりと育ち、それなりに収穫できるため、貧しい国々では貴重な栄養源となっています。
ただ、イモの部分は食べられるんですが、地面の上の部分は有毒でして、キャッサバの葉などを犬や猫が食せば、中毒になっちゃいますから気を付けましょう。
栄養学的にタピオカはいったい何かというと、イモですから炭水化物、つまりデンプンの塊になりますね。
小学校の授業でイモをデンプン染色した思い出がある人もいるでしょうが、タピオカのデンプンはその名も「タピオカデンプン」といい、なんのひねりもないネーミングです(ひねらなくて、よいんですけどね)。
ここまでは、ちょっとネットを調べればわかることばかりですが、問題はここからです。
デンプンは多糖類ですから、消化して二糖類、そしてもう1回消化して小さな単糖類にしないと小腸で吸収できません。
タピオカもデンプンですから、食べると同じで結局は単糖類の形で吸収されるわけです。
で、多くの人は炭水化物=糖=甘い、というベタなイメージを持っているため、タピオカを甘くておいしいと勘違いしちゃうんですよね。
でもよい子は「タピオカが甘いわけねえだろ!!!」と声を大にして叫びましょう。
私たちの下は味を感じますが、吸収できないほど大きな多糖類の形では実は甘みをまったく感じません。
徐々に消化され、小さくなっていくと甘みを感じていくわけです。
生のお米、生のイモを食べても甘みなんか何も感じやしないんです。
ちなみにお米を炊いたり、イモを焼き芋にすると甘みが出るのは、熱処理する過程で米やイモの中の分解酵素が活性化し、内部で単糖類ができるからです。
お米を炊くときは「はじめちょろちょろ」、イモを焼くときは「遠赤外線でじっくりと」がおいしく食す基本ですが、それは分解酵素がデンプンを単糖類に変える時間を与えるためです(通常、酵素は熱に弱いので至適温度で活性を最大にし、それが終わったら熱を上げて仕上げをするわけです)。
だからね、タピオカを口に入れて、味の感想が「このタピオカうまいね」ってどういうこっちゃ???となるわけです。
はっきり言いますが、タピオカをそのまま食べると「むなしい」んです。
何も味がせず、ただただ、むなしくなるんです。
よく授業で実は学生さんに食べさせるんですが、みんな「まずい」という感想になりますよ。ほんと。
じゃあ、なんでみんなおいしいと言って飲んでいるかというと、タピオカと一緒に飲んでいるジュースの部分がおいしいだけなんですね。
要するにタピオカは味ではなく、見た目とテクスチャ(食感)を楽しむもので、味はドリンクで感じているんです。
じゃあ、ドリンクの味はというと甘い味を感じているわけですから、おそらく炭水化物の単糖類、要するに砂糖をふんだんに使って甘くしていることが想像できるわけです。
あれれ???
ついこの前、炭水化物を食べないダイエットがブームだったんじゃないの???
それなのに炭水化物の塊のタピオカに、炭水化物の砂糖で味付けした炭水化物だらけのドリンクが今度はブームなの???
ほんと、無知ってこわいですね。
ちなみにタピオカは家で作れちゃいます。
市販のものを数十分ゆでるだけで、大量に食べられます。
イモですから、安いんですよ、ほんとは。
キャッサバは貧しい国の栄養源なんで、高価な食べ物じゃないんですよ、ほんとは。
それなのに、何百円も出して並んで飲むなんて・・・ほんと無知ってこわいですね。
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